老後資金に2,000万円必要?
このところ、ニュースで話題になっている老後2,000万円問題。
報告書の内容や政府の対応には、人それぞれに色々と思うところ、ご意見はあると思います。
100年安心と宣言した「年金」が、本当にキチンと支給されるものかも大きな関心ごとです。
ただ、2,000万円の赤字になるというのは、全員に当てはまるものではありません。
当然のことですが、国民年金だけの方と厚生年金の方でも、もらえる年金は違います。
同じ厚生年金を貰える方でも、現役世代の給与の額(納付した額))によって、年金額は違います。
持ち家(住宅ローン)か賃貸か、学費が必要な家族(子や孫)がいるのかどうか、それぞれの家庭によって支出額も違っています。
そのため、今回問題になっている「老後2,000万円赤字になる」というキーワードだけ切り取って、そのまま自分に当てはめて大騒ぎするのは、とても危険です。
もしかすると、何も対策をしなければ2,000万円では足りない可能性だってあります。
そこで、大切なことはこれから予想される収支について、一度シミュレーションをしてみることです。
もちろん、未来のことですから、その通りになるとは限りませんが、漠然とイメージしている生活を送ることになった場合、収支や貯蓄額がどうなるのかを前もって確認することはできます。
シミュレーションの基本的な作成の方法として、例えば、スタートを65歳に退職した時点とすれば、まずその65歳の退職時点での次の①~③の金額を見積もってみます。
①世帯の収入(年額)
②世帯の生活費等の支出額(年額)
③世帯の貯蓄額
そして次の作業として、そこから1年後の66歳時点の計算をします。
その計算方法としては、上記の①から②を引いた額が繰越額になります(又は貯蓄からの取り崩し額)ので、その額を③に足し算します。
例えば、65歳退職時点で、下記のような方の場合、
①世帯の収入 25万円×12カ月=325万円
②世帯の支出 23万円×12カ月=276万円
③世帯の貯蓄額 1,000万円
66歳時点で、収支に変更がない前提とすれば、下記のようになります。
①世帯の収入 25万円×12カ月=325万円
②世帯の支出 23万円×12カ月=276万円
③世帯の貯蓄額 1,049万円
年齢 | 65歳 | 66歳 | ・・・・ | 100歳 |
世帯の収入 | 325万 | 325万 | ・・・・ | |
世帯の支出 | 276万 | 276万 | ・・・・ | |
世帯の貯蓄額 | 1,000万 | 1049万 | ・・・・ |
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イメージとしては、大まかにはこのような形で1年毎の収支、貯蓄額を計算して数字を出していきます。
ただ、支出額はずっと一定額として計算するのではなく、家の修繕や車の買い替え、旅行等の娯楽に使う費用、その他不測の事態を想定した金額(例えば、〇〇歳で要介護になり支出が増えるなど)を想定してシミュレーションをしていただく必要があります。
どのようなタイミングで何をしたいか、何か必要になるのか、またその時にどのような資金が必要になるのか、人それぞれ違うはずですから、このシミュレーションの内容は、人それぞれ違っています。
このような、生活で起こる出来事をファイナンシャルプランナーの世界では、「ライフイベント」と呼んでいますが、人生には人それぞれ色々なライフイベントがありますので、何事もうまくいく「最高のストーリー」と不測の事態ばかりの「最低のストーリー」の両方をイメージしてシミュレーションをしていただいても良いかもしれません。
この作業を通じて、どの程度余裕があるのか、どのような事態になれば、資金面で不足することになるのか、どの年齢の時にどれほどの貯蓄があれば安心なのか、大まかに確認して目安にしていただくことが大切です。
また、日本FP協会のホームページには、簡単な質問を答えるだけで自動で計算してくれる「ライフプラン診断」のページもございますので、参考までに利用してはいかがでしょうか。
日本HP協会ホームページ: https://www.jafp.or.jp/know/lifeplan/simulation/
ちなみに、当事務所では、遺言や相続の手続だけでなく、このようなシミュレーション(一般的には「ライフプラン」と呼んでます)の作成相談(1時間1万円~)も承っておりますので、ぜひお気軽にお越しくださいませ。
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